企業のメンタルヘルス物語16

“メンタルヘルス対策は経営に関係ない?”

メンタルヘルス対策をしても企業の経営にはプラスにならないとお思いの人が、いまだにいます。はたして、そうでしょうか?

大手広告代理店の例を見るまでもなく、ひとたびメンタルヘルス不調者がでて、過労自殺や過労死などで労災認定が下ったりしたら、もう大変な事態になります。

会社の中は、大騒ぎになり労働者は動揺し職場の士気低下につながります。そして、マスコミに社名入りで報道されれば日頃の営業活動にも大きく影響がでてきます。公共事業などの入札にも除外されてしまったりしたら会社存続にも波及します。

ましてや、今の売り手市場の就職活動にも真っ先に取り上げられ、良い人材も入ってこなくなります。ただでさえ会社間で人財の取り合いの状況ですから、大きな採用のマイナスになることは歪めません。

たった一人のことですが、大きな代償を会社内の各方面に与えることは必至です。

そのためには、きちっとしたメンタルヘルス対策を講じることが、企業運営の大事な任務の一つです。

そして、もう一つはメンタルヘルス不調による労働力の損失も見逃せません。日本におけるDALYs(Global Burden of Diseases 2010)損失の上位16原因の中に、
7位 自傷、自殺(うつ病などと関連がある)
12位 うつ病
14位 糖尿病
があり、国民的問題になっている糖尿病より健康損失は高くなっています。

このようにメンタルヘルス不調による健康損失、これによる労働力損失の大きさは計り知れないものがあります。